Mar 25, 2009
任意売却と不動産関連事業
任意売却のようなことは、とても難しい事のようです。最善を尽くして実行することが必要だと思う。また、時期を見計らうことも重要になるです。任意売却の実態を知ることにしましょう。不動産に関する話題も逃さないようにすることです。金融機関の役割をきちんとして行けばいいでしょう。不動産の売却を考えると、どのような仲介業者に依頼するかが重要になっている。仲介業者は販売のための宣伝活動をたくさんしてくれないところもありますので、契約締結前に、どのような不動産の売却のための活動をしてくれるのか確認する必要があります。最も良いのは仲介を経ることなく知ることに直接売却し、その後、手数料もかかりません。
嶋田淑之の「リーダーは眠らない」:
2006年11月、深刻な経営危機に陥り、「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」という前代未聞のフレーズをWebサイトに掲載し、副業で製造販売している「ぬれ煎餅」の購入を広く呼びかけた銚子電気鉄道(以下、銚子電鉄)。
【表:銚子電鉄の業績推移、他の画像】
2ちゃんねらーを始めとするネットユーザーの間でそれが話題となって、2週間で1万件もの注文が殺到。さらには、その動きに目をつけた旅行代理店による、(銚子電鉄に乗ることを目的とした)バスツアーが続々企画され半年足らずで10万人を集めるなど、2006年から2007年にかけて、銚子電鉄は、日本全国で大きな話題になった。
しかし、そうしたブームが沈静化した後は、ネット上で断片的な情報は伝えられるものの、銚子電鉄の経営がその後どういう状況になっているのか、そして今どこに向かおうとしているのかに関して、同社内部からも、まとまった情報はほとんど出てこなかったと言っていいだろう。そこでこのたび、同社社長の小川文雄さん(72歳)に語っていただくことにした。
●鉄道の赤字をぬれ煎餅の利益で補てんし、今も黒字を出し続ける
銚子電鉄は、関東平野の最東端に位置する漁港の町、千葉県銚子市を走る典型的なローカル線である。現在、資本金6910万円で、従業員は27人、保有車両は8両。銚子駅から外川駅まで全長6.4キロの間に10駅あり、平日の運行は基本的に1時間に2本のみ。
1923年の創業以来、銚子市民の足として親しまれてきたが、クルマ社会への移行と、長期的に続く人口減、とりわけ定期乗車(学生・サラリーマンなどの定期券使用)比率の低下で、同社は何度も経営危機に見舞われてきた。
特に深刻だったのが2006年。この時は、前社長が総額約1億1000万円の業務上横領で逮捕されるという事件が発生(後に有罪が確定)。ただでさえ経営環境が厳しい中で、銚子市からの補助金が停止されたほか、金融機関からの融資も凍結されてしまう。
これによって銚子電鉄は、鉄道車両の法定検査すらできないという逼迫(ひっぱく)した資金状況に追い込まれ、冒頭の「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」という悲痛な叫びになったのである。
そして訪れた空前の“銚電ブーム”。これにより、同社の経営は回復したかに見えたが、今、多くの人が知りたいのは、そうしたブームの後の状況だろう。
表:運送人員(単位:人)と運賃収入(単位:円)の推移
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1110/09/news001.html
●鉄道事業の赤字を副業のぬれ煎餅販売の黒字で補てん
次の表は2004〜2010年度の経営データだ(銚子電鉄提供)。ブームが沈静化した後も、鉄道事業の赤字を、ぬれ煎餅の製造・販売を中心とする副業の利益で補てんし、黒字を出すという経営構造がしっかり定着していることが分かる。
表:銚子電鉄の業績推移(単位:円)
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1110/09/news001_2.html
「全国のローカル線は定期乗車比率が下がり過ぎて、どこも経営難に陥っており、黒字を出し続けているのは、弊社を含めて数社だけなんですよ」と、小川さんも胸を張る。
それにしても、社業を支え続けるぬれ煎餅とはどんなものなのか? 私も、今回、初めて「青のうす口味」というのを食べてみた。ちょっとグニャッとした独特の歯応えだが、醤油の焼けた香ばしい風味と、カツオ出汁のうま味がストレートに伝わってきて、これは確かにクセになる味かもしれないと思った。
しかし、鉄道事業が本業であるはずなのに、ぬれ煎餅の製造・販売が主力事業ということに戸惑いを隠せない人の数は多い。
「『鉄道会社のくせに煎餅なんか売っているから赤字が消えないんだ』と言う人もいるんですよ」と小川さんは苦笑するが、同社の特異な経営構造の秘密は、実は小川さん本人の意外な過去に由来しているようだ。
●「銚子電鉄のぬれ煎餅」の仕掛け人は、新潟の老舗旅館の元経営者
「私は新潟県出身で、20年以上にわたって県内の温泉地のホテルや旅館の経営に携わっていたんですよ。最初が、越後岩室温泉の「ほてる大橋」、その後は、弥彦温泉の「名代家(なだいや)」です。
やがて、宿の改装工事で仕事を発注した内野屋工務店が銚子電鉄を買収することになったのですが、その時、同社の内山健冶郎社長から『観光事業を知っている人を』と乞われて千葉県に赴いたのが、私と弊社の出会いです(1988年)。
しかし、最初の数年間は内野屋工務店でゴルフ場開発などの業務に従事し、銚子電鉄専業になったのは1994年でした。
その時、私は、銚子市の世帯当たりクルマ台数や、止まらない人口減少などの実態を目の当たりにして、『鉄道事業だけをやっていては続かない』と痛感しました。
そこで何か良いアイデアはないかと探していたところ見つけたのが、当時、銚子土産として評判の良かったぬれ煎餅だったんですよ」
小川さんは、銚子電鉄の女性社員3人を、ぬれ煎餅で有名なイシガミに弟子入りさせ、同社から技術指導を受けさせて、ぬれ煎餅の自社製造・販売へと踏み切った。
温泉地のホテル・旅館業を通じて、観光ビジネスの勘所を押さえていた小川さんは、新規参入は困難とされていたJRのキオスクや高速道路のパーキングエリアなどでも販売を開始するなど、数多くのチャネルの開拓に成功。
銚子電鉄の本社がある仲ノ町駅構内の同社工場では、朝の7時から深夜24時まで女性たちを中心にフル稼働し続ける日々が続いた。その甲斐あって、ぬれ煎餅事業は、売り上げを大きく伸ばし、やがて、鉄道事業の赤字をぬれ煎餅が補てんするという同社独特の経営構造ができ上がっていったのである。
●「実は何もしていないんです(笑)」
銚子電鉄の内山前社長の業務上横領による逮捕とその後の経営難については、すでに触れたが、『現代用語の基礎知識2008』に収録されるなど流行語にもなった「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」という悲痛な叫び以降の社内状況については、社外の人間には不明確な点がとても多い。
一般的には、2006年11月以降の同社の戦略に関し、インターネットを有効活用して経営危機を乗り切った先進的なマーケティング事例として紹介されることが多い。特に2ちゃんねらーとのコミュニケーションが高く評価されているようだ。
実際、銚子電鉄として、あるいは社長の小川さんとして、インターネットの活用について、どのような戦略を構築し、推進したのだろうか?
「いやいや、実は何もしていないんですよ(笑)。インターネットで話題になってブームのようになったのは、あくまでも自然発生的なことです。私として、それを意図的に仕掛けたということはまったくありませんし、その後についても、それは同様です」と、意外なことをこともなげに言う。
しかし、よくよく考えてみれば、確かに小川さんの言う通りなのかもしれない。自社の公式Webサイト上に「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」という前代未聞のフレーズを載せたら、どれほどの反響があるかとか、ぬれ煎餅がどれだけ売れるかという効果を予測した上で、このフレーズを掲載したと見なすのには、やはり無理がある。
むしろ、お堅い企業イメージがつきまといがちな電鉄会社でありながら、赤裸々に窮状を訴え、なりふり構わず全国の一般生活者に支援を求めるという、その率直極まりない姿勢が、結果的に多くの人の共感を呼ぶことになったというのが真相に近いのであろう。
「銚子電鉄サポーターズという支援団体の設立・運営についても同様で、私は関与していません。あれは、一部の弊社関係者が私には一切知らせずに密かに組織したものです。テレビ局の女子アナなども呼んだ華々しい発会式をやる前日になって、ある社員が『社長、大変なことになっています!』と知らせてくれて初めて、私はその存在を知ったというのが真相です。
なぜ社長である私に内密で組織化したのかと言えば、それは経営方針に異を唱えるある社員が、外部の知己を集めてサポーターズの中に紛れ込ませ、私を追い落とすクーデターを計画していたからです。
銚子電鉄サポーターズに参加してくださった大多数のみなさまは、本当に銚子電鉄の将来の発展を願い、心から応援してくださる方々であると確信しています。
しかし、今申し上げた設立経緯ゆえに、このありがたいご支援をくださったみなさまの名簿もご寄付の金額も、私は一切教えてもらえていないのが現状です。
私としては、社会の常識として、当然の礼儀として、そのお礼を申し上げなければなりません。さらには時候のあいさつとか、銚子電鉄行事のお知らせとかを実施すべきと痛感しているのですが、そうしたことが一切できない状態で、本当に申しわけなく思っております。サポーターズに入会登録をされたみなさま、今後もよろしくお願い申し上げます」
●赤字定着の鉄道事業を今後どうするのか?
2011年3月11日、東日本大震災が発生した。
この震災で千葉県内には相当な被害が出たが、幸い銚子電鉄は大きな被害を免れた。しかし、定期外乗客(=観光客)の数は、例年の3分の2に減り、2011年度決算の数値は厳しいものになりそうだと、小川さんは嘆息する。
これから先、銚子電鉄はどうなっていくのだろうか? 銚電ファンならずとも気になるところである。そうした疑問に対し、「弊社には戦略なんてありませんよ。いつだって行き当たりばったりで経営していますから」と謙遜する小川さんが秘策を教えてくれた。
「鉄道事業に関しては『年間の赤字を2000万円程度減らせ』と言っています。そのための方策として考えているのは、日本全国の鉄道ファンから見て、目玉商品となるような車両を保有するということです。弊社はそれがないために、お客を取り逃がしてしまっている側面があると私は考えています。
例えば、京都の嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車や、大井川鉄道のSLなどは、鉄道ファンや一般観光客がそれを目標に行きますよね。それと同様の“目標になる”車両を弊社としても保有し、営業運転したいと考えているのです」
小川さんはトロッコ電車とデキ3形電気機関車(ドイツ製、日本最古の電気機関車)に関し、他社で廃車予定のものを見つけ、安く譲ってもらうつもりだという。
「もう1つの方策は、駅舎を魅力的にするということです。ダムの底に沈んでしまうような村の古民家を移築するなどして、そこを人の集まる場所にしようと思っています。犬吠崎温泉あたりから源泉を引いてきて足湯を作り、人々がその温泉につかりながらお茶を飲んだり酒を飲んだり……駅としては、入場料収入と売店収入を得ることで、鉄道事業の赤字削減に貢献できます」
●ぬれ煎餅事業の売上倍増プランとは?
こうした鉄道事業の赤字幅圧縮と並んで銚子電鉄として重要なのが、主力事業であるぬれ煎餅の製造・販売をいかに強化していくかということだ。
そのために小川さんが準備を進めているのは、現在1本だけある製造ラインの増設である。これによって、日産6万枚体制を構築するのだという。
鉄道の赤字を補てんするためにもぬれ煎餅の利益は貴重であり、そういう意味では増産と同時に直販比率を高めることが有効のように思える。しかし、小川さんはむしろ直販のリスクを懸念する。
「利益率を考えれば直販の方がはるかに有利であることは承知していますが、直販というのは“お天気商売”です。今度の週末は晴れてお客さんがたくさん来るだろうと予想して大量に生産し、直営店に並べても、急に天候が崩れてお客さんがほとんど来ず売れ残ってしまうというリスクが常に付きまといます。ですから現在、弊社では直販比率は全体の3〜4%に留まっていますし(銚子電鉄の3駅で販売)、今後も卸売を中心に強化していく方針です」
小川さんはこうした生産力強化に加えて、ぬれ煎餅の販売単位に関しても、環境変化に対応した新しいものへと変えようとしている。
これまでは10枚820円、5枚410円という単位での売り方を中心にしてきたが、一般家庭で子どものおやつとして購入することを考えた場合、不況続きで家計が苦しい中、ぬれ煎餅のために数百円も使うとは考えにくい。実際、煎餅類というのは、100円ショップやコンビニで一番売れているという。そこで、ぬれ煎餅に関してもこれまでのやり方を改め、1枚1枚個別に包装して1枚100円で販売する方向を強化するのだという(現在はまだ全体の売り上げの4分の1以下)。
「戦略なんてありません。行き当たりばったりの経営です」と謙遜を繰り返す小川さんだが、今置かれた状況の中で最善と考える短中期的な戦略を持っているようだ。
●自分の目が黒いうちは絶対に会社をつぶさない
最後に「本業がぬれ煎餅で、鉄道は副業か?」などと一部の心ない人たちから皮肉られながらも、断固として銚子電鉄を存続させ続けることの意義を、小川さんとしてどのように考えているのかお聞きしてみた。
「『地元で必要とされているものならば残す』というのが基本的な考え方です。実は6年前に銚子電鉄の存続を求める署名活動をやったんですよ。そしたら、銚子市の人口約7万人に対して、市外在住の銚子電鉄利用者まで含めて、実に11万7000人もの人が署名に応じてくれ、その名簿を県会議長宛てに提出しました。
この結果からも明らかなように、銚子電鉄は住民の足として機能しています。バスで十分だろうという考え方の人もいますが、交通弱者の立場に立った時、果たしてどうでしょうか? 毎日通学する小中学生にとってはバスよりは電車の方が時間も正確で使いやすいのではないですか? それに電車の方が、事故に巻き込まれる可能性も少ない。
また、銚子電鉄が市の観光の目玉であることも見逃せません。
私は地元出身ではないし、生粋の鉄道屋でもないが、銚子電鉄を預かった以上は、88年の伝統の火を自分の代で消したくはない。私の目が黒いうちは絶対につぶしません」
72歳という年齢、さらには昨年、心臓の大手術をし、その後、執務時間は主として午前中だけという健康問題もあって、後継者問題についても言及していた小川さんだが、まだ当分の間は、その独創的な営業センスとリーダーシップで、話題性あふれる事業展開を見せてくれそうだ。
[嶋田淑之,Business Media 誠]
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