Aug 08, 2011

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 ■懸案めじろ押し 波高き70日

 通常国会会期末の22日、菅直人首相は、民主、自民、公明3党で合意寸前までいった50日間延長をほごにし、70日間の延長を決めた。9月以降の続投を視野に入れたに違いないが、これで野党の協力は望むべくもない。東日本大震災からの復興に向け、懸案はめじろ押しの中で政府・民主党は延長国会をどう運営するつもりなのか。8月31日の会期末をにらみ「菅降ろし」の再燃は避けられそうもない。(加納宏幸)

 「エネルギー政策は原発事故にかかわらず大変重要だ。自然エネルギー、省エネルギーを成長のバネにして積極的に取り組みたい」

 衆院本会議を直前に控えた22日午後、首相は首相官邸で開かれた「エネルギー・環境会議」に飛び入り参加し、再生エネルギー特別措置法案成立への強い意欲を重ねて示した。

 だが、首相退陣を前提とした民主、自民、公明3党の協調の芽は首相自らが摘んでしまった。首相は残り70日間で、再生エネルギー特措法案を成立させた上で、本格復興のための平成23年度第3次補正予算案編成も自らの手でやり遂げる考えだが、それほど容易ではない。

 ◆特例公債法案引き換え

 政府は7月15日に第2次補正予算案を提出する予定。2兆円規模で被災者の二重ローン問題やがれき処理など第1次補正予算で抜け落ちた復旧策を盛り込んだものだ。

 いずれも緊急を要するものが多く、被災者心理を考えれば野党も抵抗しにくいため、関連する二重ローン救済法案を含め、7月中の成立にこぎつけるとみられる。

 東京電力福島第1原発の被害者に対する仮払金支払いを可能とする原発事故賠償仮払い法案は野党5党がすでに共同提出しており、丸のみすれば早急にメドがつく可能性が大きい。

 ところが、ほかの法案については膠着(こうちゃく)状態に陥る公算が大きい。

 事故の賠償を円滑に進めるための原子力損害賠償支援機構法案は、電気料金値上げの形で国民に負担を強いる上、電力各社の負担額が明確になっていないことなどから財界なども反対しており、政府案を野党がすんなりのむとは思えない。

 首相がこだわる再生エネルギー特措法案はさらに難しい。太陽光パネルの普及につながるため、野党にも賛成勢力がいるが、太陽光パネルを購入できる人が得し、そうでない人が電気料金値上げの形で負担増を強いられる。「金持ち優遇」との批判が強まれば棚上げされる可能性がある。

 そして野党側が政府・与党を揺さぶるための最大のテコとみるのが特例公債法案だ。23年度予算執行に伴う国債発行に不可欠な法案で9月までに成立させなければ国債市場への影響も大きいが、野党はこの法案の成立と引き換えに首相退陣を迫る公算が大きい。

 ◆徹底抗戦モード

 首相が抵抗すれば、参院での首相問責決議案を突き付けるという手もある。この攻防の山場は8月下旬とみられている。

 ここで首相が退陣を決断するか。それとも「脱原発」を旗印に衆院を解散するか。そうなれば民主党内の「菅降ろし」も一気に強まりかねない。いずれにしろ、お盆明けから与野党は徹底抗戦モードに突入し、8月下旬にそのクライマックスを迎えることになる。

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 民主党の松野頼久元官房副長官は22日、衆院議院運営委員会筆頭理事の辞表を川端達夫衆院議運委員長宛てに提出した。辞表は保留されている。民主、自民、公明の3党が一時合意した通常国会の50日間の延長幅が70日間に延びたことから、交渉役としての責任を取る意図がある。

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 国会の会期延長が決まったことで、政府は7月中旬の国会提出を目指し、東日本大震災の追加的な復旧策を盛り込む平成23年度第2次補正予算案の編成を急ぐ。ただ、6月中にはまとめなければいけない財政運営戦略が宙に浮き、24年度予算編成のめどが立っていないほか、震災復興の柱に位置づけられる3次補正の編成も「新体制」に先送りされ、復興への支障が避けられなくなっている。

 財務省幹部は「予算編成全体に大きな影響が出るのは確実」と、大幅な会期延長で予算編成が停滞しかねないことに危機感を示す。

 2次補正は原発事故や二重ローン問題への対応が中心で、予算規模は2兆円程度になる見通し。財源は税収の上ぶれで生じた22年度決算剰余金1・4兆円などを活用する方針だが、全額活用には特例法の成立が条件。野党は大幅な会期延長に反発しており、「法案成立に協力を得られる保証はない」(同省幹部)。

 3次補正についても、政府・民主党は今国会の閉会後に「新体制」で編成し、臨時国会に法案を提出するとしている。10兆円超と見込まれる3次補正の財源は「復興債」を発行して、償還財源には所得税など「基幹税」の増税分を充てる方向だが、大幅な会期延長で野党の増税反対論が強まる可能性は否めない。

 新体制をめぐる政治の混乱が加われば、3次補正の編成はさらに大きく遅れる恐れもある。

 財務省内からは「3次補正と24年度予算は別物だが、3次補正にめどがつかない限り、24年度予算の編成作業も本格化できない」(幹部)との声が上がる。

 例年は財政運営戦略に続き、財務省が7月中に翌年度予算編成に向けた概算要求基準をまとめる。8月末には各省の要求を締め切り、年末の政府案決定に向け作業を本格化させる。

 だが、7月中旬の2次補正や関連法案の提出を控え、同時並行での概算要求基準の策定は「事務負担が大きく膨らみ、人手が足りない」(同省幹部)という。桜井充財務副大臣は16日の記者会見で「(2次補正という)中途半端なことをやり、大事なものが先送りされることになれば本末転倒だ」と、2次補正を指示した首相を批判した。

 復興対策は24年度以降も必要になるのが確実なだけに、予算編成の停滞は許されないが、政治空白の下、事実上ほったらかしにされている状況だ。

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